目立つピアノと、埋もれるピアノの音の違い
ピアノという楽器を想像した時、静かで穏やかな曲をイメージすることも多いかと思います。
クラシック音楽やジャズでも、主役のような位置づけで好まれる楽器と言えるかもしれません。
ポップス系の歌モノの音楽に使われるなら、しっとりとしたバラード系が多いですね。
ピアノ1本の伴奏の歌は本当に美しくて、嫌いな人は少ないと思います。
バラードであっても、曲の途中からドラムやベース等の他の楽器が入ることもあるし、アップテンポの曲でもピアノが使われることも多いです。
他の楽器パートと一緒に演奏して、アンサンブルの一部としての役割を担うこともあるピアノ。
ロックピアノなんかは、アップテンポはカッコいいし、バラードも感動的ですね。
さて、いろんな音楽で人気者のピアノですが、実際にバンドなどで演奏したことがある方なら体験したことがあるかもしれません。
または、最近はDTMも普及しているので、ピアノパートを入れたときに起きる現象が、
ピアノの音が目立たない
他の楽器はよく聴こえるのに、ピアノの音が埋もれてしまってよく聴こえない。
そういうことが起きる場合があります。
じゃあ、ピアノの音を大きくしてみよう!
と、ボリュームを上げたところで、何となく音量は上がったように感じるけど、ピアノが目立ったかというと、ちょっと違う。。
さて、この現象の鍵となるのは、
ピアノの音色です。
誰もが認識するピアノだと思う音。
一口にピアノと言っても、色んな音色があります。
音の質感と言ってもよいでしょう。
ここで言うピアノの音とは、アコースティックピアノ(生ピアノ)のことですので、エレピ(エレクトリックピアノ)は違う楽器なので、対象外としてくださいね。
ちなみにエレクトリックピアノとは、このサイトのトップページの上部に出てくるようなピアノのことです。
有名なローズピアノという写真を使っていますが、音や楽器構造が全く異なるので、エレクトリックピアノについてはまた違う機会にお話したいと思います♪
話をアコースティックピアノに戻しまして^^
音の質感が違うと、ソロピアノやバンドなどのアンサンブルの中で使うときに向き、不向きがあります。
クラシックやジャズ、歌の伴奏、ソロ演奏などに向いているのが、音の響きが豊かな音色。
いわゆる、ピアノの音として認識されているような音と思っていただいてOKです。
倍音が多くて、広がりのある音が心地良い音色です。
一方、アンサンブルの中でピアノの存在感を出したい場合は、あまり響きが少ないソリッドな音が良いです。
キーボードでならブライト・ピアノなどのプリセット名だったりします。
単体で弾くと、広がりが感じない音ですが、ドラム、ベース、ギター等と一緒に演奏する時には、目立つピアノの音になります。
レコーディングしたり、DTMなどで録音してしまえば、後から音の調整はある程度は可能ですが、後から音色を大幅に手を加えるのは音質劣化にもつながります。最初から役割に合った音色を選ぶ方が良いでしょう。
ブライトなピアノとは、音質としてはキラキラとしていて、固い音です。音のつぶが、しっかり感じられる音色。倍音も少ないシンプルな音。
なので多くの楽器が混在しているアンサンブルの中でも、存在感を感じられるのです。
逆にアコースティックピアノらしい、響きの豊かな音は、他の楽器と音の成分が重なる部分が多いため、どこにいるのか分からなくなってしまうという性質があります。
もし、ピアノ単体を目立たせたくなく、楽器パート全体で楽曲のサウンドを組立てたいなら、アコースティックピアノ系の音色がオススメです。
ミルフィーユ状になって、サウンド全体が一体感を醸し出してくれます。
ピアノを目立たせたいのなら、響きの少ないブライトでキラキラした音色のピアノを。
ケーキで例えたら、フルーツタルトみたいな感じでしょうか(笑)
生地と一体化はしてないけど、サウンドの上に鎮座している感じです^^
これはピアノに限らず、他の楽器でも共通して言えることです。
例えば、特定のギターを目立たせたいとき、ディストーションのような歪み系の多い楽器より、クリーントーンやアコースティックギターのような音の方が、音のつぶが固くて目立ちやすくなります。
どんなサウンドの楽曲にしたいのか、どの楽器を前に出したいのか、特定の楽器だけピックアップしない方向性なのか。
楽器や音色のセレクトで、同じ曲でも如何様にも変化するのです。
楽器の音って、おもしろいですね♪