音楽を始めたきっかけ。
このコラムで、はじめて私自身のことを綴ってみたいと思います。
人との出会いの中で、音楽を仕事でしていると、「なぜ音楽をやっているのですか?」と、尋ねられることがあります。
音楽にしろ、絵にしろ、ものづくり稼業をやってい以上、好きだからやってるとしか考えられないのですが。
それでも、何度もよく質問されます。
相手の方は、好きなのは分かった上で、職業にするほどの理由を知りたいのかも知れません。
この答えが相手が求める正解になるのか、今でも分かりませんが、
私が初めて楽器を習った日に、そのヒントがあるように思います。
6歳になった頃の秋の日でした。
母に連れられ、近所のピアノ教室へ行ったことを覚えています。
初日なので、何か曲を弾けるはずもなく。
幼稚園児にピアノの先生は、ミドルC(真ん中のド)の位置を説明し、四分音符や拍のことなど、ごく簡単な楽典の勉強をしました。
その日、弾いたのはドの一音のみ。
ド・ド・ド・ド
ド・ド・ドーー
四分音符と二分音符しかない、1小節のみのフレーズを何度か弾いて、レッスンを終えたことを覚えています。
正直、物足りなさと、ピアノという楽器への期待だけが膨らむレッスン初日。
全くまともに弾けないくせに、
幼心に、このピアノという大きな楽器に
ずっと大人になっても触れているだろうと感じました。
何の根拠もなく、直感で思いました。
それから何十年も経って、今でも音楽を続けていること、
好き以上に、自分のアイデンティティーになっていること。
あの日の直感が、そのまま実現していると思います。
本当はエレクトーンを習いたかったのに。
教室の片隅に置かれたエレクトーンを横目に、幼児には地味に感じたピアノのレッスンを続けたこと。
エレクトーンへの憧れが、シンセサイザーや、打ち込み、DTMへの興味をつないでくれたと思ってます。
ピアノを習いたいと申し出たのは私自身。
だけど自覚がなく、
母の意向でレッスンを始めたと思い込んでいました。
どうしてピアノを習いたいと思ったのか。
私自身が、もう一度6歳の自分に帰って
直接、確かめてみたいです。
初対面の人に質問される「なぜ音楽をやっているのですか?」の問いは
6歳の私なら、的確に答えられそうな気がします(笑)